船乗り2007 / 12 / 18 ( Tue )
軍神といわれた海軍さんが身内にいる。
唱になった、神田に銅像があった。 ロシア留学中に恋をした。 そんな、錆ついてしまったような話を、 もの心ついた頃から、自分の意思とは関係なく聞かされる。 育ったのは、瀬戸内海に面した街。 海は、あたりまえのようにそこにある。 少年に 海で仕事をしたい 外洋に出てみたいと錯覚させるには 充分の環境だった。 * しまなみ街道の、ほぼ中間。 瀬戸内の海に浮かぶ小さな島、弓削(ゆげ)島。 その島に、国立弓削商船高等専門学校がある。 5年全寮制。 当時は航海科と機械科の2コースしかなく、 卒業後の進路は、外洋船舶の船員、または機関士など。 卒業研修は、現在、横浜の「みなとみらい」に碇をおろしている 帆船「日本丸」か、その姉妹船「海王丸」での外洋実習。 なんといっても、これに憧れた。 しかも親元を離れられる。 一石二鳥。 問題は、当の受験生。 なにしろ勉強嫌い。 憧れだけでは、とうてい合格できない。 私学、地元の公立、そして国立の商船学校(航海科)、3校の受験を志望した。 自分の狙いは、もちろん商船学校。 夢は外国航路の船長さん。 親は地元の公立高校を希望。 はなっから、国立なんて受かると思ってやしない。 そこまで言うなら受けさせてやるか程度。 最終的な三者面談での席のこと。 「私学は大丈夫ですが、公立と国立は無理でしょう」 バッサリと一刀両断。 「公立はランクを下げて、国立はやめた方が……」 失望と怒りの母親。 さすがに危機感を抱く自分。 このままでは、あと3年間は親元だよ……。 一念発起! やるしかない。 そして元来の、当たって砕けろ主義。 志望校変更なしでの受験に挑んだ。 浪人覚悟。 結果は、3校すべて合格。 人生の運をかなり使ったものだ。 だが、ここからが本当の試練。 すでに外国航路の船長になった気分でいる自分。 是が非でも地元の高校に通わせようとする親と身内。 意外なことに中学校が味方についた。 そりゃ、まぐれとはいえ、できた商船学校とのパイプ。 大切にしようとするのは、当然のこと。 商船学校からも、ぜひ来て欲しいとの打診。 今後の受験生への影響もあるから中学としても必死だ。 だが、肝心の費用を支払うのは親。 そんなに船乗りになりたいのなら、 神戸か東京の商船大学に進学すればいい、ときた。 わかっていない。 息子の実力を。 ほとんど運だけで受かったことを。 悲しいかな、養われている身分。 結局、地元の公立に通うこととなった。 高校3年間。 ただただ早く、親元を学校を抜け出したかった。 教師からは何も教わらなかった。 いや、教わったな。 反面教師。 思い出そうとしても、どの教師の顔も言葉も浮かんではこない。 微かに残るのは、殴られた数々の記憶と侮蔑の表情くらい。 でも友人達だけには恵まれた。 もちろん学校のお荷物連中だけど。 授業と教師抜きなら、喜んで高校時代に戻る。 でも、これでは学校じゃない……。 まぁ当時も似たようなものだが。 なにしろ多感な時期。 ひとつの衝撃的な出逢いが人生を変えてしまった。 進学校決定の際、商船学校を選択していたら、 このブログも 「船長さんの航海日誌〜おもしろ見聞録」 などというタイトルになっていたのかも。 う〜ん、いいんだか悪いんだか……。 もちろん、筆を持つこともなかっただろう。 乗りたかったなぁ、日本丸。 見るたびに切なく淡い思い。 * 9月27日の日記「友あり、オーストラリアから来る」に登場した、 日本人の奥さんが、実は、弓削島の出身。 オーストラリアの海で逢ったときには、お互い本当に驚きました。 俳優の北村○輝氏が 「国立弓削商船高等専門学校」卒業と知ったときも驚いたけど(笑)。 * 最初に登場した「軍神といわれた海軍さん」が気になる方は、 司馬遼太郎氏の小説をお読みください。 「ある運命について」中央公論社、そのなかの「文学としての登場」。 「坂の上の雲」文春文庫。 いずれも文庫です。 ▲よろしかったら、1日1回の、ひと押しお願いします。 今後の創作の励みにさせていただきます! |
Thank you for your comments!
瞬生さん、こんばんは!
お久しぶりです。 いつも楽しみに読ませて頂いています。 見るたびに切なく淡い思い…があるんですね。 日本丸は無理だけど…今、ここに、生きる限りやりたいことはいつでもやれますよ! いざ、こころ、行くべき場所へ。^^
emilysmile さん
こんにちは。 思い出として浄化された過去を切なく淡く思う。 時にはいいものですよ。 行く度に「みなとみらい」が好きになります。 海とは今も相思相愛。 羅針盤もある。 少年の頃よりも、さらに大きな海原に出、 帆すべて広げ、風を受け、 進むべきであろう場所へ向かっています。 コメント、ありがとうございました!
船になりたくて
船を名乗った そんな女が居たと聞いた 船乗り(志望青年)と 船名乗り いつか 遠い未来で ばったり出逢い 過去を知らずに恋に落ちる そんなよく出来た話も あったとか
ferry.さん
はじめまして。 素敵な詩を、ありがとうございます。 詩のコメントをいただくのは初めてで どのようにお返しして良いのか分かりませんが、光栄です。 本当に、ありがとうございます!
将来は外国航路の船長さん。
大きな夢ですね。 商船学校に通っていたら、今頃瞬生さんは海の上でしょうか。 日本丸から発信される「船長さんの航海日誌〜おもしろ見聞録」・・・ちょっと読んでみたいかも(笑)
夢子さん
「船長さんの航海日誌〜おもしろ見聞録」。 洋上生活の連続で、アップするのは海の写真ばかり。 文章力の乏しい自分では、随分コアなブログになっていたかもしれません(笑)。 たまに出てくるといえば、カモメやクジラ、そしてイルカ……。 寄港地に着くたびに、写真を撮りまくっていたかもしれません。 それでも「上弦の月」だけは必ず、楽しみに読んでいたことでしょう。 コメント、ありがとうございます!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
|
Post a comment |
Trackbacksこの記事のトラックバックURL:
http://tiger8x.blog117.fc2.com/tb.php/41-e99b9f3e |
| ホーム |


